私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「……あの……一護さん?」

「すげー怖い顔!椿、マジすぎだろっ」


なんのツボに入ったのか、一護はずっと笑っている。

その破顔するほどの笑顔に、なぜかドキッとしてしまう。


「ス、スピグラとなると…ね。一護、さっきの出来事は、今すぐ忘れて」

「やだね、インパクト強すぎて、無理」

や、やだって……。

そして、またあのイタズラっ子の笑み。

不覚にも、可愛いなんて思ってしまった。


「だって、色んなお前の顔、知りたいし」

「な、なんで……??」

「………離れてた分、空いた距離、全部埋めていきてーの」

「一護………」

一護が、そんなことを考えてくれていたなんて、気づかなかった。

感動して、何も言えなくなると、そこで、会話が途切れてしまう。

あれ…何だろう、今まで普通に話せてたのに、会話が…。

なにか話さなきゃ。

そう思って、私はスピグラのCDを売り場から手に取る。


「ね、ねぇ、これ買うでしょ?」

「おう」


私の手からCDを受け取ると、一護はホッとしたように笑った。そして、レジに向おうとする途中、棚にyumiのCDを見つける。

「これ……」

「どうした?」

私が立ち止まると、一護は不思議そうな顔で私を見た。