どれくらい、眠っていたんだろう。
ふと、頭を撫でられる感覚に、意識が浮上する。
「こんな、無防備な顔するんだな、お前…」
あれ……声が聞こえる……。
低くて、耳障りの良い声。
「なんで……俺には笑ってくんねぇの?東野にしたみてーに、俺にも笑えよ…」
悲しげに呟かれた言葉に、キュッと胸が締め付けられる。
この声……一護?
私はまだ、夢を見てるんだろうか。
瞼を閉じたままだからか、確かめようは無いけれど、私が好きな人の声を聞き間違うなんて事は無い。
忘れたくても、忘れられなかった想い人だもん。
「ただの、ダチだったのに……。いつの間にか、お前の事ばっか考えて、俺……わけ分かんねぇんだ」
………え?
そんな事、一言も言ってくれたこと無かったのに…。
それに、私の頭を撫でるこんな優しい手を、私は知らない。
「俺は……っ」
その声が、苦しそうに聞こえて、私はゆっくりと瞼を持ち上げる。
すると、やっぱり苦しそうな顔で私を見つめている一護と、目が合った。
「なっ、椿起きてたのかっ!?」
「……一護も、苦しいの……?」
突っ伏した状態のまま、顔だけ一護の方を向く。
すると、一護は視線をさ迷わせた。