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放課後、吹奏楽部へ行く前に、紗枝と教室に残る。
机には、何個か鞄が置いてある席もあるが、部活だからか、生徒は私達しかいない。
窓際に立つ紗枝は、夕日を背に、私を振り返る。
「……ねぇ椿」
「うん……」
今だけは、紗枝が私に何を尋ねたいのかが分かる。
紗枝は、きっと……。
「椿、一護くんの事、本当は、どう思ってるの?」
一ー護への気持ちを、聞きたいんだーー。
「…………」
なんて答えよう……。
誤魔化してきたはずなのに、紗枝には分かってしまう。
だけど、今それを認めたら、今までの努力は全部泡になっちゃう。
紗枝の事が好き。
私を助けてくれた、優しくしてくれた、大切な親友。
傷つけたくないと言いながら、傷つけてる。
私が……迷ってるから…?
応援するって言ったのに、一護の事をいつまでも気にかけてるから……。
また嘘を重ねても、私はつきとおさなきゃ。
だって、紗枝と一護は両想いなんだから………。
私が、2人の仲を引き裂こうとしてる、邪魔な存在なんだから……。


