私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「離して」

「何だよそれ、理由すら話してくんねーのかよ!!」

「やめてよ……一護といると、どんどん惨めになるっ」


涙で震える声に、一瞬一護の手の力が緩んだ。
それと同時に、私は手を振り払う。


「椿っ……」

「安心して、体調悪くて保健室にいたって言っとくから」

「そういう事じゃねーって!!」

「ついてこないで!!」


私は叫んで、屋上を飛び出した。
あとは無我夢中に走る。

我慢できずに流れた涙が、早く乾いてくれますように。

そして願わくば、この悲しみも…時の流れとともに癒えますようにと、願う事しか出来なかった。