私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。




「………つき」

「え…………」


紗枝は、小さい声で何かを呟いた。
それが聞き取れず、一歩足を踏み出す。


「椿の嘘つき!!」

「!!」


紗枝が悲しみと怒りに震わせた声で叫んだ。
私は、それに驚いて足を止める。


心臓が、バクバクと鳴って、放心状態だった。


「椿は、まだわからないの!?私の欲しい言葉!!」

「え……」

「嘘なんて、嘘なんてついてほしくない!!だから、真っ直ぐぶつけたのにっ!!」


紗枝は泣きながら、ただ叫ぶ。
誰もいない廊下に、悲しく響き渡った。


分からない……紗枝の欲しい言葉が。
私は、ただ紗枝に笑って欲しくて、傷ついて欲しくなかった。


これでも、精一杯考えたのに……。