私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「だめだ、行くな!!」

「っ……」


強く、強く抱き込まれる。
呼吸を止められるんじゃないかと思うほどの抱擁。

骨が折れるんじゃないかと思うほどに、抱きしめられる。


傷つけて、勝手に傷つく……。
こんな事を繰り返すのは、もうやめなくちゃ。


ポツッと、雫が頬に落ちる。
一瞬、一護が泣いているのかと思って動揺する。

だって、そう思うほどに見上げた一護の顔は泣きそうだった。


どうして、一護が泣きそうなんだろう。
また、私が傷つけてしまったんだろうか…。


無意識に、一護の頬に手を伸ばす。

「っ……」


すると、一護が驚いたように目を見張って、すぐにその手を掴まれた。


そしてまたポツリ、ポツリ、手の甲に雫が落ちる。

それがいくつも頬に、肩に、手に落ちてくるから、空から雨が降ったのだと気づいた。