私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。




「俺さ、夢の中でも、椿の事抱きしめてて、なのに……目が覚めたら、全てが夢だったみてぇに、隣にお前がいなかった。シーツがすげぇ冷たいって思ったのを覚えてる」


「私は……昨日一護には会いたくなかったよ…」


つい、嘘と本音が混じった言葉が零れる。

私は、会いたかったけど会いたくなかった。

恋を消し去りたくて、なのに胸に居座り続けて、結局……求めてしまう自分に嫌悪するから。


「っ……それでも、俺は椿をほっとけねぇんだよ」

「やめて……慰めも同情も、いらないから」


私は、その手を振り払って、道の真ん中で立ち止まる。


赤い風車がたくさん回るお店の前、たくさんの人が道の真ん中で立ち止まる私達をチラチラと好奇な視線で見ていた。