私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。




「瑞希先輩……」

「優柔不断であればあるほど、一護に振り回される彼女達の事を考えた?」


彼女達……。
それが、私と紗枝を指していることに気づいた。


「それは……っ」

「俺は、一護を大事な後輩だと思ってる。でも、椿ちゃんは特別な女の子として大事なんだ」

「っ……それは、俺だって!!」


……えっ?
一護にとっても、私は特別なの?

それに、早鐘を打つ心臓。
その意味を知りたくて仕方なくなる。


「一護にとっても、特別なのかな?」

「俺は……」

「もう、見てられない。椿ちゃんの事は、俺が守るよ。他の誰かじゃなく、俺がね」


そう言って、瑞希先輩が私の肩を抱き寄せて歩き出す。