私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。




「い、一護くん!」

「おう、紗枝」

「ゆ、浴衣似合ってるね」


紗枝が緊張しながら、一護に笑いかける。

一護、本当に浴衣似合ってたな……。

スッとした鼻筋も、シャープな輪郭、整いすぎてる顔に、あの背の高さ。


「ねぇ、あの人かっこよくない?」

「隣の女の子も超可愛い!彼女かなー??お似合いだよねっ」

「あーあ、私もあんなイケメン彼氏ほしい!」


誰もが振り返って、顔を赤らめるわけで…。
周りの声に、胸がチクンッと痛む。

そんな一護に釣り合うのは、紗枝みたいな可愛い子だよ。


これで、いいんだ……。
もう、私の恋にサヨナラしたんだから……。