私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「つか、お前鍵くらい閉めとけ。男だっていんだから、危ねーだろ?」

「閉めたかと思ってたよ……」


一護は私のことを心配してくれたんだ。
それが嬉しいのに、苦しくなる。


喜んじゃだめ、やっぱり近すぎるのはよくないな。
だって、幸福は近すぎるほど抗えないから。


「でもまぁ、こんな私をどうこうしようっていう悪趣味な人、そうそういないから大丈夫」

「あのなぁ、危機感なさすぎなんだよ、椿は。あと、自分のことを"こんな"とか言うな」

「なんで?一護がそんなこと言うなんて、変」


私の事なんて、興味無さそうだったのに。
急に心配してみたり、最近は距離が近い。


「変って、お前なっ……俺は……っ」


何が言いたげに開かれる一護の唇は、言葉を紡ぐことなく、閉じた。


本当に、最近の一護は変だ。

なんだろう、紗枝と進展してなくて、おかしくなっちゃったのかな。