私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「紗枝も、命令していいんだよ?」


一護の隣で黙り込んでいる紗枝に声をかける。すると、顔を上げた紗枝がぎこちなく笑って私を見つめた。


「うん、でも思いつかないから…」


……紗枝?
なんか、紗枝の様子がおかしい。

もしかしてまた、私一護と仲良くしすぎた?
だとしたら、離れないと…。


「思いついたら、何でも言って?それじゃあそろそろ夜ご飯に行く?」


お風呂に入って、卓球をしていたら、いつの間にか18時を回っていた。

食堂に入れる時間が決まってるし、そろそろ行ったほうがいいよね。


「そうだね、その後部屋でトランプでもする??」

「はい、瑞希先輩たちの部屋に行きますね」


女子だけ部屋が違うから、男子たちの部屋に行かないと、みんな集まれないんだよね。


私達は食堂で夜ご飯を済ませて、部屋へと向かった。


「もう、布団敷いてあるな」


部屋は畳に敷布団の和風な作りになっている。

しょうじの扉の向こうには、切り開かれた山の緑を堪能出来る窓に面した休憩スペースがある。

「俺の特等席♪」


机とリクライニングの椅子があり、部屋につくなり、藍生先輩はそこを陣取った。