私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「いいな〜、俺なら椿ちゃんに色々やってもら…」

「藍生先輩、禁止令忘れてません?」


尚くんが慌てたように藍生先輩の腕を軽く叩く。


藍生先輩には、酷な命令かも……。

そう思った自分の考えを改める。

口を開けば口説くのもどうかと思うし、この際禁欲でも生きていけるように特訓するべき。


「うぐぐ……」

「ハハッ」


両手で口を塞ぐ藍生先輩に、尚くんが笑う。
それを呆れたように見つめる一護と瑞希先輩。


「尚と瑞希先輩は、藍生先輩のお守り」

「おう」

「わかったよ」


尚くんと瑞希先輩が顔を見合わせて、困ったように笑う。

お守り……どっちが年上か分からない。


「私は?」


そこで、私だけ命令されてない事に気づいて聞いてみる。
すると、一護はなぜかボッと顔を赤くした。


「椿は……か、考えとく」

「??」


さっきまでポンポンと命令してたのに。
というか、絶対服従とか言ってなかったっけ。

考えとくとか……怖っ!!