私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



『椿ちゃんは私の親友だよ』

『……え……?』


俯いていた顔を、ゆっくりと上げる。
それは、予想もしていない言葉だった。

信じられない想いで、私は紗枝ちゃんを見つめた。


『椿ちゃんの事、私が一番知ってる。椿ちゃんは誰かの物をとったり、傷つけたりしないもん』


紗枝ちゃんは、優しく私に笑いかけていた。
そして、ギュッと私に抱きつく。


『椿ちゃんを、信じてるんだ、私』

『さ…えちゃんっ……』


それが、限界だった。
私は、ブワッと涙が溢れて、声を上げて紗枝ちゃんの胸で泣く。

そんな私を、紗枝ちゃんはずっと抱き締めてくれていた。
私は、この日から、紗枝の親友になった。


どんな時も、何があっても、私は紗枝ちゃん……紗枝だけは大切にする、守るし、味方でいるって決めた。


これが、私の唯一無二の、大切な『親友』との出会い。