私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「紗枝と一護がペアね」

「えっ」

「卓球、2人が組んだらいいよ」


頑張って、励ますように笑いかける。

痛い胸も、泣きたくなる目にも力を入れて、ただひたすらに笑顔を作った。


「おい、勝手に決めんなよ」

「えーと、私は……」

「椿、無視すんな!」


一番の抗議を無視して、私が振り返ると、瑞希先輩と目が合う。


「なら椿ちゃんとは俺が組むよ」

「ありがとうございます」


瑞希先輩が頷いてくれて、良かった…。
ホッとして表情を崩すと、瑞希先輩が優しく微笑んでくれる。

私の隣に瑞希先輩が立つと、一護達も向かいに立つ。



「じゃあ、はじめ…」

「ちょーーっと、待った!!」

「なに、藍生」


突然声を上げる藍生先輩に瑞希先輩が怪訝そうな顔をする。


なんか、嫌な予感しかしないんだけど……。
私はハラハラしながら、藍生先輩の言葉を待つ。