私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「私がぬけてるって事?失礼な!!」

「……お前、無防備の意味辞書で引いてこい」

「はい??」


頭を抱え出す一護に、頭の中『?』マークの私。


「ぶっくく……椿ちゃんは鋭そうで鈍いからな」


尚くんが肩を震わせながら笑いを堪える。
堪えきれてないし、いっそ笑ってくれた方が気持ちがいいんだけど…。

「尚くんって、意外と酷いよね」

「ごめんって」

尚くんは、結構毒舌だと気づいたのは最近だ。

明るい好青年に見せておいて策士だし、毒舌だし、もう詐欺だよ。


「…………」


すると、さっきから紗枝が黙り込んでいる事に気づく。

こんな所、紗枝は見たくないよね。
私だって、紗枝と一護が一緒にいるのを見るのは辛いから、分かる。


私はそっと一護の腕から抜け出して、紗枝の所へといく。


「ほら、紗枝」

「椿……?」


呆然と私を見上げる紗枝の手を掴んで、一護の所へと連れていくと、ラケットを握らせた。