私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。




「永遠の子供だよね、男子って」

「椿って、たまにすごく年上に見えるんだけど」

「それは、オバサンって言いたいの!?」

「ち、違うって!!」


ギロりと睨むと、紗枝は慌てたように顔の前で両手をブンブンと振った。


「浴衣、椿は着こなしてるのに、私は浴衣に着られられてる感じしない?」


不安そうにくるりと回って私に浴衣を見せる紗枝。
そんな紗枝の襟元を直して、ポンッと軽く胸を叩いた。


「紗枝は、何してても可愛いよ。まぁ、浴衣は大きいけど」

「もーっ!!やっぱり大きいんじゃん!」

「小さいからね、紗枝は」


紗枝と私の、10cmの差は大きい。

紗枝のツムジが見えるし、やっぱり女の子は小さい方がいいよね。

私は、女子の方では大きい方だし……一護も、紗枝みたいに小さくて、素直で可愛い女の子の方がいいはず。


それが………なんだか切ない。


「あっ、到着だね!」

紗枝の一言に皆がこっちを見る。

「お待たせしました」

なんとなく視線が集まって、挨拶すると、男子たちが息を呑んだのが分かった。


………何??

首を傾げていると、藍生先輩がラケットを放り投げて私たちの所へやってくる。