私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



『ぎゃー、無理無理、これ以上動けないっ』

広がる景色を見た途端、体が竦んで、意識が遠のきかけた。


『ええっ!?』

私は動けなくなったせいで、進むことも戻ることも出来なくなり、あげく、タワーに何時間も居座る羽目になって、紗枝に心底呆れられたっけ。


「最後は私が椿を引きずって出たんだから、大変だったよ」

「ごめん、ごめん」


苦笑いで、私達は服を脱ぎ終わるとタオルを巻いて、浴室へと足を踏み入れる。


そして、シャワーを浴びて髪を洗い終えると、長い髪をまとめて、さっそく外の露天風呂に2人で浸かった。


「ふぅ……」

あぁ、なんかホッとする……。

温泉パワーで若返りそう。
って、まだ10代なのに、フレッシュさが無くなってる!?

1人かってに落ち込んでいると、紗枝が私の胸元を凝視していることに気づく。


「えっ、椿また胸でかくなってる!?」

「は!?」

「なんでかなぁ、私全然育たないのに、椿ってば絶対Dカップぐらいあるじゃん!神様は不公平だよっ」


自分の胸を触っている紗枝に私は笑う。

あっても、重いし邪魔なだけだと思うけど。
なんせ、走る時は気になるし、普通にしてても肩が凝る。