私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



***


車で揺られること2時間、体を揺すられる感覚で目を覚ました。

「んっ……うぅ…」

「おい、起きろって」

「む……り……」


だって、まだ眠い。

最近考え事ばかりで、ちゃんと眠れなかったし…。
なんか、温かくて、また寝ちゃいそ…。


「………おい、起きろって」

「むにゃ……」

「着いたぞ、旅館」


旅館……温泉。
温泉……露天風呂っ!!


「温泉!!」

「うおっ!?」

突然起き上がった私に、一護が声を上げる。

ぼんやりとした頭で一護の顔を見つめると、顔が赤いように見えた。

目の錯覚………?


「お、お前…急に起き上がんなよ」

「あれ、私寝てた?」

「あぁ、俺の肩でぐっすりとな」


恨めしそうな一護に、今度は私が顔を真っ赤にした。
い、一護の肩で寝てたなんてっ!!