私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。




「な、なに??」

「名前で呼ぶなって」

「………な、なんでよ?」


なんで、そんな事言い出すの。
なんか、最近の一護は距離が近いのもそうだけど、様子が変だ。

何が変って、具体的には言えないんだけど……。
こう、雰囲気が……とにかく変。


「…い、言わねーよ!」

「本当に、さっきから一護変だよ?」


一護の顔を見ると、フイッとそらされる。

はぁ……本当に意味がわからない。


「ね、ねぇ椿。お風呂楽しみだね!」

「えっ、お風呂??あっ、露天風呂楽しみだね!」


紗枝の一言に、テンションが上がる。

そうだ、今日行く旅館には、露天風呂がついているらしく、お風呂が好きな私としては、楽しみで仕方ない。


「紗枝、出たらマッサージチェアでも乗る??」

「ぷっ、椿ってば、おばさんみたいな事言って〜」


吹き出す紗枝に、一護以外の皆が笑う。
一護だけはまだ不機嫌のまま。

その理由がどんなに考えても分からなくて、モヤモヤとしていた。