私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「よろしく、尚っち!」

「尚っち……ハハッ、藍生先輩そのあだ名は違和感があるんですけど!」

「親睦深めるには、まずはファーストネームで!みんなそうしようぜぃ☆」


何故か、藍生先輩の発言でみんな下の名前で呼ぶ事になった。すると、東野くんがこっちを振り返る。


「一護、怒んなよ」

「はぁ!?怒ってねぇし!」

「ふーん」


含み笑いを浮かべる東野くんに、一護は顔を赤くする。
そういえば、前に東野くんが私を名前で呼ぶの、嫌がってたっけ。


結局、あれはなんでなのか、分からないままだな…。


「東野…尚くん、紗枝、今日は来てくれてありがとう」

「なんか、宮野……椿ちゃんに尚って言われるの、不思議な感じだな」

「そうだね、違和感??」

なんか、名前で呼ぶって変な感じ。
東野くんと見つめあっていると、グイッと肩を引かれる。

振り向くと、不機嫌そうな一護と目が合った。