私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「えーと、椿ちゃんと一護と同じクラスの…」

「南 紗枝です」

前の席では、藍生先輩が声をかけて、自己紹介が始まってる。


「紗枝ちゃんね、よろしく〜♡」

「は、はいっ」

「あのさ、今彼氏はー??」

「い、いません」

「なら、俺と真夏のランデブーしちゃ…いってぇ!!」


紗枝を口説く藍生先輩の頭を、運転席の瑞希先輩が叩く。
そして、後部座席を振り返ると、


「ごめんね、コイツ口を開けば女の子だから、困ったら俺に言って?温泉にでも沈めておくから」

ニッコリと笑う瑞希先輩は、腹黒なんじゃないかと最近疑っている。

………私には、この上なく優しいけど。


「あ、ありがとうございます……」


そんな瑞希先輩の笑顔に、紗枝もホッとしていた。


「じゃあじゃあ〜、隣のイケメンくんは??」

「イケメンじゃないですけど、東野 尚です」


テンションの高い藍生先輩に、苦笑いの東野くん。