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温泉旅行当日。
カフェの前で待ち合わせした私達は、瑞希先輩が運転するバンに乗り込む。
運転席に瑞希先輩、助手席に藍生先輩、後ろの席は先に到着していた一護と私が一番後ろ、紗枝と東野くんが真ん中の席に分かれて座る。
あっ……紗枝と席変わった方がいいかな。
「一護、一回出て」
そう思った私は、扉側に座る一護に声をかける。
すると、一護は面倒くさそうに、「なんでだよ?」と言った。
この鈍感め……。
せっかく、気をつかったのに……。
「紗枝の隣、座りたいでしょ?」
小声で声をかけると、一護は固まる。
な、なに??
緊張してるとか??
そういえば、前も教室の入口で紗枝に声がかけられずにうろうろしてたっけ。
あれじゃあ、ただの変質者だ。
「いや……いい、遠慮しとく」
「………はぁ?」
遠慮しとくって……。
どんだけ純情boyなんだ、この人は。
顔とギャップありすぎでしょ、イケメンなのに!
「あのね、怖がってたら何も進まないでしょ」
応援するって決めたのに、これじゃぁ私も前に進めない。
早く、踏ん切りつかせてほしいのに……。


