私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「自分に厳しすぎだよ、椿ちゃんは」

「そう…ですか…?自分では、分からないです」

「もっと、我がままになっていいって事だよ」


もっと我がままに……?

なれたとして、その先にみんなが幸せになれる結末なんてあるのかな。


「人の幸せばっかりだからね、椿ちゃんは」

「私、結構自分の事ばっかりですよ」


私が恋心を捨てられずに、両想いの2人を傷つけた。
それって、すごく傲慢だったと思う。


「ほら、明後日はみんなで旅行だし、一護と過ごしたらどう?」

「明後日……そうだった」


明後日、バイト仲間の藍生先輩と瑞希先輩、それから一護と紗枝、東野くん、私の6人で鬼怒川温泉に旅行に行く。


言い出しっぺは藍生先輩で、遠出するなら大勢でと提案したのが瑞希先輩。


紗枝と東野くんは私と一護が話していたら、便乗して付いてくることになった。


なんだか修学旅行みたいに大人数だけど、楽しみにしていた、夏のイベント。


最近色々悩んでたから、すっかり忘れてたよ……。