私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「一護も、椿ちゃんも、空気が柔らかくなったけど……。何か心境の変化でもあったの?」

「………私がいるから……」

「え……?」

「私がいるから、一護も親友も、悲しそうな顔をするんです」


私は、2人が大好きなのに、傷つけることしか出来ない。
笑って欲しい、優しくしたいのに…苦しめる。


「私が、私さえこの気持ちを隠していれば、みんな元通り。一護とも、ギスギスしないから……」


「でも、それじゃあ椿ちゃんは、ずっとその想いに苦しんで生きていくの?」

「………忘れられるなら、消えるなら消えてほしい。だけど、そううまくはいかないから、こうするしかないんです…」


こうするしか、これが一番良い選択だと思ってた。

でも、幸福と悲しみが私を苦しめる。
こんなに、切なくて……いっそ恋なんてしなきゃ良かったとも思う。


「………自分をもっと大事にしなさい、椿ちゃん」

「え……」


まるで、学校の先生かのような言い方に、目を見開いていると、また頭を撫でられる。

優しい手……。
なのに、やっぱりこの手が一護だったら…なんて考えちゃう。