私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



紗枝との出会いは、小学3年生の時。


***

『まなかちゃんの消ゴム盗ったの、椿ちゃんでしょ!』

『え……?』

それは、唐突に起きた。

私は自分のいたグループの女の子達に囲まれて、消ゴム泥棒の疑いをかけられたのだ。


『だって、椿ちゃんの机の中に入ってたもん』

『椿ちゃん、可愛いって言ってたもんね』

確かに、私は、まなかちゃんのネコの絵柄の入った消ゴムを可愛いと言った。

でも、ただそれだけだ。


『私じゃないよ!』

私は、違うと何度も首を横に振った。


『椿ちゃんの嘘つき!!』

『嘘つきは、友だちになれないんだよ!』


だけど、どんなに『違う』と言っても、みんなには分かってもらえなくて、いつの間にかクラスでは孤立していた。


一人、教室で窓の外を眺めている。

昼休み、外で遊んでいるクラスメートを見つめるのがあたりまえになっていた。

そんな時、現れたんだ。