その春、あたしたちは同じ中学校に入学した。 「おはよ、愛海」 今より少し高い大雅の声に呼ばれて、あたしは大雅に挨拶を返す。 「おはよ、遅れてごめんね」 「いいよ、行こ」 ――毎日あたしが迎えに行かないと学校に行かなかった大雅は、中学生になると、毎日あたしを迎えに来るようになった。 「いってらっしゃい」 母親の声はいつまでたっても変わらず、あたしたちを見送る。