内容も頭に入らず意味もない本をパタンと閉じる。

その上を透明な雫が濡らしては滑っていった。


「なんでこんな思いしなくちゃ…」


思わず呟いたとき図書室のうるさい扉がガラガラと開く。

慌てて目を擦り、誰が来たのかとアタフタする間にも足音は近づいてきた。

「彩凛ちゃん」

その声にヒュッと喉がなった。

紛れも無く、陽先輩の声だったから。