驚いたのは、携帯の中身を一切隠さない、ということだった。



連絡がくると明かりが灯る形態の画面に、反射的に視線がいってしまって、慌てて平然とする自分を取り繕う。

何度も何度も反応してしまうのは、そうはもう特別な関係になったときのサガだと思う。ただの女友達には、こんな感情は抱かないし、興味もない。



さすがに仕事のメールは勝手に見られたら困るけど、そういってパスワードを口にしていたことだ。

「えっ、いいの!?」と思わず叫んだけど、予想外に大きな声にびっくりして、ごめん、と逆に謝られてしまって、あっけにとられた。



携帯は秘密の宝庫だと思うし、見てもいいことは一割もないと思っている。



今までの彼女は、おれの携帯は盗み見ていたくせに、自分の携帯は頑として見せなかった。

そうやって男と内緒でLINEして、勝手に別れを切り出しては、悲劇のヒロインみたいになよなよ泣いて、気持ちよくなるような女とばかりつき合った。



それを聞いた百合子ちゃんは、おれのことも歴代の彼女を否定することもせず、「なんていうか、ちょっと変わってる人が多くない?」と、素直に不思議そうな顔をしていた。








 女の子は好きだ。柔らかいし、いい匂いがする。



あまりベタベタされるのは得意ではないけれど、エッチのときの高揚感は、同性愛者ではない自分には女の子としか味わえない。

そればかりを話すと、性欲モンスターみたいで笑えてくるけど、決して毎日やるわけじゃないし、手をつないだり、キスをしたりするのも気持ちいい。



セフレを何人か持って、身体だけの関係を持つという発想がなくて、ふと周りを見ていたら、身体だけのつき合いをしたこともあると聞いて、なるほどその手があったか、とびっくりしたことがある。