お店を出ると、しょんぼりと肩を落とす蒼佑くんに、洗ったら平気だよ、と笑ってみせる。大した服じゃないからね、とにっと歯を見せると、やっと顔を上げてくれた。

この格好じゃ電車に乗れないし、歩いて帰るね、と駅の前で別れようとすると、鞄を掴まれ、足を止めた。



「百合子ちゃんち、行ってもいい?」



 申し訳なさそうにくいくい鞄を掴まれたけど、いいよ、と軽く返したらフリーズしてしまって、手を引っ張って家までの道のりを歩いて行った。


















 告白は、あっけなく実った。




お笑いだったらズッコケる、お決まりの仕草みたいに、大人だったらキスするのがベタかな、なんて思っていたけど、思ったより舞い上がってしまって、立ち上がったらお酒をこぼしたみたいだ。


しかも、今、告白した相手を濡らしてしまうという被害を与えてしまった。




けたけた笑って咎めることもなく歩いていた。

思いがけず百合子ちゃんのほうから手を握ってくれて、童貞みたいに舞い上がってしまった。

女性にしてはわりと背の高い百合子ちゃんの手が、小さくて柔らかかったから、どきどきして、自分の手から鼓動が伝わるんじゃないかと思った。






 「彼氏」という称号を手にすると、今まで一線を引いていた百合子ちゃんの態度も、遠慮がなくなってきた気がする。

……性格は驚くくらい変わりないけど。一番変わったことは、部屋に入れてくれるようになった。




酔ったとか、具合が悪いとか、そんな理由にかこつけなくても、堂々と出入りできるようになった。



ねだれば10回に1回くらいは一緒にお風呂に入ってくれるし、最初はリビングのソファで寝ていたけれど、計画的に距離を縮めて、次は同じ部屋に布団を並べて寝ることに成功した。

その次は同じベッドで寝かせてくれと頼んでみたけれど、落ち着かないから週一だったらいいです、とまだそれ以上はお許しを頂いて、いない。