それを見て嬉しそうに笑ったタケちゃんは、「じゃあ俺はこれで」なんて言って一人美術室を出て行く。

くっそ。タケちゃんはさっさと帰りやがるし、彼女らは明らかに俺のことを不審に思っている。さっきから一言も喋っていないから、しょうがないかもしれないけど。
俺、面倒くさいこと嫌いなんだよね。


「あ、えっとじゃあ私から…」


そう言って自己紹介を始めたのは、普通の方の彼女、野山ミウ。
まじまじと改めて彼女を見ると、ふわふわしたセミロングの髪の毛の雪のような白い肌が印象的で、意外と可愛い顔立ちをしていることがわかった。


その後自己紹介したのは黒髪美人のカナ。何度見ても美人。スタイルもいいし、こんな美人がいるなら部活に来てやってもいいかも、なんて。

俺は適当に名前を言って、とりあえず笑みを浮かべておいた。


「ノガミくんね。名前覚えたよ。
明日からしっかり参加してね。じゃあ私は帰るから、後のことはミウに任せるわ。じゃ、ミウよろしく」

「えええ!?カナ、待ってよ…!」


カナは困り果てているミウを気にもとめず、スタスタと部屋から出て行く。彼女は見た目によらず結構キツい性格らしい。

ミウは俺の方をチラリと見て、ますます困惑している様子を見せた。
ちっさくて、ふわふわした女。俺とは多分、正反対の。


「ミウでいい?」

「えっ?!あ…」

「呼び方、ミウでいい?」

「あ、えっと…いいけど…」


いきなり喋りかけたからか、オドオドして挙動不審。俺に何か言いたげな目を向けている。
正直俺の苦手なタイプかもしれない。


「何?」

「あの…私…」


俺はイライラして、ミウを自然と睨みつけてしまったらしい。
ミウはさらに言いにくそうに、それでも覚悟をして口を開いた。


「あの…私ノガミくんの一個上なんだけど…」