その後、いつもの場所に宮瀬を加えて座った俺らは、文化祭について色々と話し合いをした。まあ宮瀬はほとんど聞いているだけだったけど。


「じゃあ、とりあえず "かわいい" のゾーンはその女の子に任せていいかな?」

「はい、あの人そーゆーの得意そうなので」


ミウの問いかけにキッパリと答える宮瀬。

四つのテーマに分けたのはいいものの、俺ら美術部員は3人しかいないので、一つのテーマである "かわいい" を、写真部唯一の女子に任せることにしたのだ。


「じゃ、俺らはこの割り当てでいいか?」

ミウとカナがこくりと頷く。
四つのテーマのうち、" 風船 " をカナ。
" 夢 " をミウ。" かわいい " を写真部の女子。そして、" 世界 " を俺、という風に、それぞれ担当者を振り分けた。


宮瀬いわく、写真部にちゃんと所属しているのは宮瀬を入れてたったの四人だけらしいので、あとの三人には好きなテーマのところを手伝ってもらうことにした。


「どんな空間にするか早く考えなくちゃ。あと一週間ちょっとしかないんだもんね」

「私は風船を膨らませるだけだから楽」

「おいカナ……おまえ、だから真っ先に風船のテーマ選んだのかよ」

「当たり前でしょ。」

「カナせこい!」


俺らの会話を聞いてか、宮瀬が隣でクスリと笑った。宮瀬が笑うなんて珍しい。3人して奴を見た。


「あ、笑ってすいません。仲いいんですね。」


その言葉に、3人して笑ってしまった。仲いいんですねって。周りにはそう見えるのかと思って、ちょっと嬉しく感じる。

めったに笑わない宮瀬が笑うなんて珍しいことをしたのは、やっぱりこの2人のおかげなんだろう。だって俺も、ここにきて笑うことが増えたから。