「やばい、もうこんな時間だ」
私達は長い間話し込んでいて、気付くともう校舎施錠時間が迫ってた。
「じゃあこの話はまた明日だな。
帰るぞ、ミウ」
どくん____。
ミウ、と呼ばれたその声に、心臓が鳴ったのはなぜだろう。
私は荷物をまとめて、急いでノガミくんへと駆け寄る。二人で美術室を出て、下駄箱までの道のりを歩く。
ノガミくんが入部してきて、仲良くなってから。ノガミくんは毎日こうやって一緒に帰ってくれる。
学校を出た後も、家の方向が一緒なのか駅まで一緒に歩いてくれて。
_______ノガミくんが私に言った『好き』は、やっぱり冗談だったのかな。
もしそうだとしたら、あの時私は走って逃げてしまって、ノガミくんに何も言えていない。
笑い飛ばすはずのところを、真面目に考えられたらそれこそ恥ずかしいことだ。
「ねえ、ノガミくん」
学校をでて、道を歩く。季節のせいでもう暗い道のりを、肩を並べて。つい最近まで影があったのに、暗くてそれも見えない。
「………どうして、こんなに真剣に文化祭のこと、考えてくれるの?」