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「は?文化祭に出店?何それ。俺も参加すんの?」

「当たり前でしょ。
アンタ一応美術部員なんだから」


ノガミくんが嫌そうに顔をしかめる。
カナとノガミくんの会話を聞きながら、ノガミくんの顔を見た。

あれから一週間も経っている。

でも、ノガミくんはいまみたいに本当に普通で、気にしているのは私だけみたいだ。

あの時、好きだ、って。ノガミくんはそう言ったのに。こんなに普通なんて、逆におかしい。やっぱりあれは夢か何かで、私の勘違いかもしれない。それか、ノガミくんの冗談で、笑い飛ばすべきところだったのかな?


「で?ミウはどーなの」


いきなり名前を呼ばれて、はっと我に帰る。ノガミくんがまっすぐこっちを見ていて、ばちりと目があった。

私はそれをそらす。ほら。目をそらすのは、いつも私の方だ。


「ご、ごめんよく聞いてなかった」

「だーから。文化祭で何やるかってこと!お昼も話してたでしょ」

「ああそうだった、ごめんごめん!」


カナは不機嫌そうにノートに案を書いている。文化祭って言ったって、何もしてない美術部に何が出店できるっていうんだ。


「低コストで高クオリティ。できれば部費になるように稼ぎたいわね。三人しか人数がいないってことも配慮するとかなり厳しいけど____」


ノガミくんは面倒くさそうに、私達2人は真剣に頭を悩ませた。そもそも、こんな地味な美術部に大勢の人が集まってくれる企画なんてそれこそ無理がある話だし、それに____。


「いいこと思いついた」


ノガミくんはそう言って、ニヤリと私達2人に向かって笑ったんだ。