「そ、それよりさ、あと二週間で文化祭だよ?どうする?」
「ああ、もうそんな時期ね……」
上手く誤魔化せたかな?カナは私の背中をさするのをやめて、考えるように自分の元いた場所に戻った。
うちの学校の文化祭は11月中旬だ。
あと二週間もしないうちに、そのイベントはやってくる。
当然、文化部の美術部は何か出店しないと許されない。
クラスの模擬店は、委員長なんかが中心になってもう動き出しているっていうのに、私達は考えてすらいない。
「ん〜去年は適当に作品並べてたけど、今年は並べる作品もないし……」
そこまで言って、あ、しまった、と思う。カナの表情が変わるのはわかりにくいけど、いま少しだけ反応したのがわかった。
並べる作品がない。
当たり前だ。だって私達は、美術部の活動なんて何もしてない。
「とりあえず、今日の部活で話し合いね」
カナは私の言葉には触れずに、静かにそう言った。それと同時に、授業の開始五分前のチャイムが鳴って、私は助かった、何て思った。