体がゆっくりと離れると同時に、彼の体温も離れてゆく。でもノガミくんは、私の左手を掴んだ右手だけは、離さなかった。
ゆっくりと顔を上げる。ノガミくんはうつむいていて、顔はよく見えない。
掴まれた右手が熱い。何故だろう。離したくないとでも言っているように、彼の手は強く私の左手を握りしめていた。
「ノガミ、くん………?」
「………もう多分、完全に……」
うつむいたノガミくんがボソボソとつぶやく。私は、曖昧に聞き取った言葉を並べて、ノガミくんに聞き返す。
「……完全に?ノガミくんごめん、よく聞こえな____」
私が言葉を言い終えるのと、ノガミくんが言葉を発したのはほぼ同時だった。そのときノガミくんは顔を上げて、まっすぐまっすぐ私を見ていた。
「_______ミウが好きだ」
そう言った、まっすぐなノガミくんの顔を見たとき。私、思ったんだ。
_____ああ、やっぱり。
ノガミくんは、何処にいても私を見つけ出してくれる、救世主なのかもしれないな、って。