世界はきみに恋をしている。



「じゃあ、わたし先に帰るわ。ノガミ、ミウのことよろしくね」

「りょーかいっす」


カナはいつも俺とミウより少し早く帰っていく。その理由はミウも何も言わないから、俺は知らない。まあ、そこまで首をつっこむほどのことじゃないだろう。


「もう、カナったら…。
ノガミくんに頼まなくったって、私は全然大丈夫なのに。」

「本当その通り」


カナは見かけによらず過保護なのか、いつも俺にミウを頼むね、と言って帰っていく。

俺はその、"頼む"が本当のところどういう意味なのかを全く把握していない。まあ一応、帰りに一緒に帰ってやったりはしてるけど。


「私ってそんなに弱そうかなあ…」

「まあ見るからにすぐ襲われそうだけどな」

「なにそれ、どーゆー意味ー!?!」


膨れたミウを見て、思わず笑ってしまった。ミウは笑った俺を見て、また膨れている。

でも、ミウは実際、かなりフワフワしている。見た目もだけど、中身も。

なんていうかこう、掴み所のないような、地面に足の着いていないような、そんな感じ。わかりにくいけど。

まあ、俺が勝手に感じているだけなんだけどさ。