夢中で重ねた。
だいすきな原色たちが、私の世界をつくりだす。色が、私を描いてくれる。

忘れていたものが一気に戻ってきたみたいに、ただただそれに没頭した。

私の空間、ダンボールの中にいたから、時間がどれくらい経っていたのかわからない。


ガラリと、開いた扉の音で現実に引き戻されたみたいだった。


空間内からは、ダンボールで区切られているから外が見えない。誰がやってきたのかわからないけど、誰かがやってきたってことは授業時間が終わったんだろう。

夢中で描いていたから、時間を全然気にしてなかったなあって。ぐっと背伸びをして、もう一度筆を持つ。



「________ミウ?」