カナは笑って、鍵を握った私の手をぎゅっと握った。そのとき、私ってなんて馬鹿だったんだろうって、胸の奥が締め付けられた。

言葉なんていらないくらい、大切なひと。

カナが私の気持ちをわかってしまったように、私もカナの気持ちがわかってしまった。

ずっと、ずっと、このときを待っててくれてたんだね。カナは何も言わずに、何も問いかけずに、私のそばにいてくれたけど。

本当はずっとずっと、私の手を握ろうとしてくれていたんだよね。わかっているつもりで、きっと私は全然わかってなかったんだ。


カナがくれた鍵を握り締める。私の手に重なったカナの手の上に私の反対の手を重ねた。


カナがいつも先に帰っていくのは、この鍵をタケちゃんに返すためだったんだ。

学校の鍵は職員室に保管されているから、きっと毎朝一番に借りに行って、部活終わりに返しに行って。


あの日からずっと……カナはずっと、私がもう一度描くことができるようになるって、信じてくれていたんだね。