面白そうに言う二人に向かって、俺は悪態をつく。いや、間違ってはいないけど、なんか悔しいじゃん。


「そりゃあ、お前らみたいに好き勝手やってる奴しかいないんだから、楽しくないことはないだろーよ」

「好き勝手とは人聞きの悪い」

「そのとーりだろ。」


実際、この2人は本当に好き勝手やっている。美術部なんて言うもんだから、絵を描いたり工作したりしてんのかと思ったら大間違いだ。

2人はいつもここに座って、お菓子を食べながら雑談している。
課題をやったり、ゲームをやったり、本を読んだり。本当に自由なことしかしていないんだ。


タケちゃんも、よく俺をここに入れようなんて思ったよな。少しは真面目になれなんて言っときながら、この美術部の部員2名は部活の活動なんてこれっぽっちもやってないじゃないか。



「でもアンタ、これくらいが楽しいでしょ。そんな真面目に絵でも描きたい?」

「ハイハイ。その通りです。このままが楽しいです。」


実際、カナの言う通り。
これくらいが一番楽しい。真面目に絵なんて描くはめになったら、俺はタケちゃんなんて構わずにとっとと退部しているはずだ。

だから、俺はなんてラッキーなんだ、って自分で思ってる。お菓子をくれるセンパイと、ただ喋ってる。それだけで、全部が丸く収まる。
面倒くさいことが嫌いな俺には、もってこいの話だ。