それを聞いて、俺は固まる。静まり返る部屋。沈黙。彼女は恥ずかしそうに下を向いている。


「………まじで?」

「あ、うん……」

「まじか………」


もう一度まじまじと彼女を見下ろす。俺より随分と小さい彼女。ほそくて、白くて、ふわふわしている。おまけに、少しばかり震えている。


「いや、いやいや、お前ぜってー年上じゃないだろ!ちっさいしオドオドしてるし何なんだよ。」

「の、ノガミくんひどいっ!!
私だって、好きで小さいわけじゃないんだからっ!」


こんなに小さくて、頬を膨らませた彼女が年上だなんて____。
そんなに驚くことじゃないかもしれないけど、何故だか信じられない。

だって、俺が彼女の口を塞いだ時、なんて小さくて弱いんだ、って、そう思ったんだ。


「の、ノガミくん。今日から美術部員なんだから、しっかり敬語を____」

「あーうるさい。俺そういうの嫌い。てかミウ、先輩になんて見えないし。」

「の、ノガミくんのばか!!!」


ミウは怒ってるのか冗談なのかわかりにくい。でもきっと怒ってるんだろう。怒ってるように見えないけど。

なんだよこいつ、ちっせーくせに歯向かってきて、なんかちょっと、面白いじゃん。

美術部なんて、存在自体知らなかったけど、意外と部員は個性豊かで興味が湧いてきた。

おれは、そこでその日初めて声に出して笑ったんだ。