教室に入ってから、ずっとクラスの人たちからの視線が痛い。 転入生っていうのはこうも注目されるものだなんて知らなかった。 兎に角、居心地が悪い。 ってのは確かだね。 榎本先生に促されつつ教壇に立つ私。 クラス中の視線と注目を集めて、恥ずかしながらも言葉を発する。 「……えっと。桃井 瑠璃(ももいるり)です。よろしくお願いします」 ( ……桃井。) それは武爾さんと美和子さんの苗字。私が二人の娘だという唯一の証。