「理宇ー、おはよ。練習してるか?」

「綺さん、おはようございます。してますよー。ってか、見つからないんですか?ボーカル」

「俺が良さ気なの見つけてきても、違うって、こいつが」


綺(アヤ)と呼ばれた男はそう言って、苦笑いした。

もう1人の方は…あれ?

なぜか、私を見ている。


「あ、あの…私、何か…」

「名前は?」

「えっと、九重夕霧(ココノエユウギリ)です」

「九重夕霧…」


男は小さく呟いた。

私はどうしていいか分からず、理宇を見ると、理宇も状況がわかっていないようだ。