「前々から思っていたんだけど、心ちゃんのその敬語何?」
『え?』
「確かに上級生には敬語使えって言うよ。
だけど僕、3年前は心ちゃんと同い年だよ」
『あっ…!』
驚く心ちゃん。
忘れていたのかな。
まぁ僕もつい最近まで忘れていたんだけど。
「普通にタメ口でオッケーだよ。
むしろそうしてほしい!」
『…でも今更…』
「じゃ、タメ口に変えてくれないと勉強教えない!」
『そ、そんなの酷いです!』
「勉強教えてもらいたいのならタメ口にする!」
『…良いの?』
「もち」
『古っ!』
「どうするの?どーするの」
いきなりタメ口を止めろと言われ焦っている心ちゃんが面白くて、ついついからかってしまう。
楽しくてクスクス笑っていると、心ちゃんは『わかった』と頷いた。
『じゃタメ口ね。勉強教えてね』
「よしよし、それで良いのだよ心ちゃん。
そうだ、ついでに僕を呼ぶ時の春田さんも止めてね」
『春田さんも!?』
「タメ口なのにさん付け可笑しくない?
僕ら出会ったことないけど、こうして話している友達だもん。
僕は心ちゃんって呼んでいるんだから、ね」
『…何て呼べば良いの?』
「下の名前が良いな…。
でもいきなり呼び捨てじゃ心ちゃん抵抗あるよね。
好きな人を呼び捨てにするべきだから」
『は、春田さんっ!』
好きな人を思い出したのか、慌てている心ちゃん。
どんな人なんだろう…心ちゃんが好きな人。