奥村に背中を押され、希和と向き合う決心をしたものの。
「……」
お昼休み。
いつもは一緒に食べている希和がいない。
わたしはひとりでお弁当をつっついていた。
だけどやっぱり、いつも話している相手がいないとつまらない。
食べている途中だったけどわたしは蓋を閉じ、購買へ向かった。
いつも希和が購買でお昼ご飯を買っていることを知っているから。
1度希和の付き添いで来たことがある1階の購買へ行くと。
希和がスマートフォンを触りながら、購買の列に並んでいた。
何となく話しかけられないで、人混みに紛れながら見ていると、3学年の青いネクタイをした男子生徒が立った。
その人は笑顔なのに、希和はちらりと見上げすぐにスマートフォンに視線を落とした。
言うまでもなく、希和とかっちゃんだった。
かっちゃんは笑顔で希和に話しかけているけど、希和は無視している。
やがて希和はかっちゃんに腕を引かれ、どこかに向かった。
わたしは踵(きびす)を返し、教室には戻らずただ校内を歩き回った。



