「わかった。じゃタメ口ね。勉強教えてね」

『よしよし、それで良いのだよ心ちゃん。
そうだ、ついでに僕を呼ぶ時の春田さんも止めてね』

「春田さんも!?」

『タメ口なのにさん付け可笑しくない?
僕ら出会ったことないけど、こうして話している友達だもん。
僕は心ちゃんって呼んでいるんだから、ね』

「…何て呼べば良いの?」

『下の名前が良いな…。
でもいきなり呼び捨てじゃ心ちゃん抵抗あるよね。
好きな人を呼び捨てにするべきだから』

「は、春田さんっ!」



好きな人…。

そう言われて思いついたのはかっちゃん。

かっちゃんのえくぼが浮かぶ笑顔を思い浮かべ、真っ赤になっているよきっと。



『僕だって心ちゃんってちゃん付けだし。
だから、水樹くんはどう?』

「水樹くん…?」

『そう水樹くん。
人前でスマホ出さないんだったら僕の名前を出すこともないし。
好きな人に彼氏がいるって勘違いされなくて済む!』

「春田さん余計です…」

『ノンノン春田さん。イエス水樹くん』

「……」

『…コホン、気にしないでください。
水樹くんって呼んでください、心ちゃん』

「……み、ずきくん」

『ぎこちないなぁ…まぁ慣れて行けば良いか』

「べ、勉強教えてよ水樹くん!」

『良いよ。でもねその前に』



真剣な声になり、わたしは無意識のうちに体を固くした。

春田さ…水樹くんは、何を言おうとするのだろう。