数ヵ月前…まだ季節は冬だった。

「お疲れ様。荒垣くん、あがって大丈夫だよ」

「はい、店長…お疲れ様です。…お先に失礼します。」

コンビニでのバイトが終わり、制服から私服へ着替えて裏口から外へ出ると自分の吐く息が白い事に気づく…陽も完全に暮れ、夜になっている。

〝…寒い…かなり冷えるな…早く帰ろう…〟

帰路の途中、子ども連れの家族の横を通ると会話が耳に入った。

「何をお願いしたんだ?」

「サッカー選手になれますようにってお願いした!」

「きっとお星様が叶えてくれるわよ」

夜空を見上げると綺麗に星が観えた。

〝ああ…そういえばニュースとか今日来た客たちが言ってたな…なんとかいう星座の流星群があるって…『星に願いを』…ってやつか…どうでもいい……〟

すこし早足で道を進むと、先ほどの様な家族やカップル、学生グループ、会社員集まり…みんな空を見上げている。

〝何を願っているか…それは知らない…ただ星に願って叶うのか?…全然知らない人間の願いを星は押し付けられる……何千?何万?…もっとか?…流星群とはいえ流れ星も大変だな……〟

なんとなく、ふと思った。

〝……じゃあ星の願いは?誰が叶えてやるんだ?〟

「う~ん…ボクの願い?それは考えた事ないなぁ」