星の願いは?

また先生は煎餅を一枚取りバリバリ食べてお茶を飲み、シホへ訊ねる。

「ねぇ?シホくんは、錬金術師って知ってる?」

シホも小さく割った煎餅を食べ、お茶を飲み答える。

「いえ、知りません」

背もたれへ体重を預け、後頭部で手を組んだ姿勢になり先生は語り始める。
「現代の科学者、研究者の大先輩みたいな感じかなー…金以外の物質で金を創ろうとしたけど、金は金以外で創れないのよね。今では当たり前の事だけど、皮肉にもその人たちが研究して初めて解った事でもある…それで判明したのが等価交換って法則なのよね。」

うんうんと頷きながらシホは聞き続ける。

「それは物質だけに止まらず、生物の成長にまで通じちゃうわけよー変化してゆく為には、それに見合った代わり…代償が必要なわけ…前に進めるけどさ、代償の重さを受けとめられないとか、割りに合わない、等価ではない…ってのが人間には出て来ちゃうわけよね」

先生の考えをシホは瞬時に察した。

「だから急な成長をとげている兄を不安視していると…」

眉間にシワを寄せ、後頭部から次は胸の前で腕を組む先生、右手の人差し指をびしっとシホへ向ける。

「そうっ!その通り!私の思い過ごしであってほしいんだけどね…ほんと、それがいま私の一番の願いよ」

ふぅーっと息を吐きながら先生は少し肩を落とす。一方のシホは微笑みの表情を浮かべた。

「先生はとても良い人なんですね…本当に願ってくれてる…ありがとうございます」