〝この頃…なんか…良い様な気がする…〟

「ほほー、流石は荒垣殿…見事な表現力でござるな!」

〝…何だよ…気が散るな…〟

顔には出ないが昇は“邪魔だ”という気配を出す

「なんつってね!…でも本当に綺麗な絵だよ」

昇は芸大の絵画美術専攻なので絵を描いているが、周りの干渉を受けたくないので必要以上にいつも、わざと窓際へ離れている…だが時々、この矢島という牛乳ビンの底みたいなメガネを掛けた女が近付いてくる

「もともと繊細なタッチだけど地味な感じがしてたんだ~でもこの絵、良いね!」

〝…うるさい…覗きに来るなよ…〟

「この前に描いてた水彩画もそうだったけど荒垣くん何か色彩が明るくなったね~」

「…そうか?」

〝…自分でも思う…シホの影響…なのか?…〟

「荒垣くん…もしかして彼女できた?」

「…いや」

〝彼女の有無で変わるものか?…無くはないか?…どうでもいい…〟

「よかった~安心したわ!ダーリン!」

〝…誰がダーリンだ…〟

「私も負けてられないわね!邪魔してゴメンね~」

〝…まったく…何だったんだ?…しかし矢島のコメント通りに先生にも褒められた…〟

シホと出会って数ヶ月だか、昇はいくつかの作品が評価が高く次回の発表会に期待されている

「おった!おった!探したわ~昇!」

〝…毎回コイツ…うるさいな…〟

「おーい!こっちやで~シホくん!」

〝は?…シホが学校にいるわけ…〟

「見つけた!ノボル~♪」

〝…シホ…何でいるんだ?〟