「ねぇ・・・本当にあの校長話長いんだけど・・・」

そう言って横で項垂れている朱莉ちゃん。

うん、わかるよ、わたしもそろそろ眠気が襲ってきた。

「なんであんなに話せるんだろうね」

「逆に才能だよ、あのおっさんの」

そんなことを言ってから、早く終われ〜と唱えだした朱莉ちゃんを見ていながらも、校長の長い話に眠気を誘われる。

あぁ・・・もう寝てしまおうか。

そう思ったとき、眠気を覚ましてくれるような声が聞こえた。

「えぇーと、みなさんおはようございます」

眠気に耐えていた間に、いつの間にか新しい先生の着任式に移っていたみたいで。

その1番目は、朝勢いよく電車に乗ってきた汗をかいた男の人。

「・・・先生だったんだ、」

そんなことを呟きながらも、朝とは違うまさに教師という雰囲気に驚いていた。

朝は、そんな雰囲気なかったのに・・・

教師って、こんなにもオンとオフが激しいものなのだろうか。

ちゃっかりしてそうなのになあ、いまのこの人を見たら。

「今日から、新しくここでお世話になります、結城 想 [ユウキ ソウ]です」

優しい声だなあ。

声はやっぱり、朝と同じ印象を持たせるような声だ。