日曜日の昼、ボーッと天井を仰向けになりながら見つめていると着信音が部屋中に鳴り響いた。


好きな声優さんが演じている好青年の少しダルそうな、でも優しい口調の声が着信音として、囁く。


いつもならその声にうっとりして、飛びついて中を開くけど、そんな気力は全くない。




《友だちからなんじゃないの》

そんな甘い囁きを耳にしつつ、まだ天井を見つめている。


やっと止まった音に、小さな息を吐いた。


でも、休むこともなく今度はメールの着信音が鳴り響く。


それは鳴り止むことなく、テンポが良すぎる音が耳を煩くさせた。



「……まじ、なんだよ」

ため息混じりに声を発しながら、ベッドから下りて机の上で鳴っているものを掴んだ。


待受画面に和海からのメッセージがズラリと並んでいて、とても気持ち悪いと思った。



それを開かず下へとスクロールしていくと、あるメッセージに目が止まった。



【せっちゃんと仲直りしてね】



シンプルな言葉だった。
顔文字も絵文字も何一つない、本当に伝えたいメッセージが1文。




…………そんなの、わかってるよ。


和海は心配性、というより凄く友達思い。そして、お節介。

和海の良いところなんだけどさ。


私は返信もせず画面をおとして、また寝転んだ。



…………仲直り、か。

そりゃ、したいよ。
でも、雪菜の本当の気持ちを知りたい。

ただ、それだけ。


だから私は、雪菜の口からはっきりと伝えてくるまで、少し距離を置くことにする。


ひどいかもしれない。
でも、それはお互い様でしょ。雪菜もそうしたんだ。

だから、小さなお返しをしたげる。
悲しい思いを思い知れ!


私は、嫌いにならないから。
ちゃんと仲直りしよ、雪菜。




──待ってるよ。その日が来るまで。




空は灰色の雲で覆われていて、その隙間から光が差し込んでいた。